真っ暗な夜道に浮かび上がる光の畑!沖縄特産の電照菊とは?

夜の帳を照らしてくれる電照菊の光
沖縄の夜道をドライブしていると、真っ暗な田舎道で一角だけが光っている畑を目撃したことはないでしょうか?
初めて見た人は「深夜に何かのイベントをやっているのか?」とか「テーマパークのイルミネーション?」などと思ってしまうほどロマンチックな光景が広がっています。しかし、近づいてみれば辺りにひと気はなく、ただ照らされた畑があるだけ。
あれはいったい何なのかと不気味にも思った人もいるのではないでしょうか。その不思議な灯りの正体は電照菊という菊を栽培している畑なのです。
あのアーティストの歌にもなっている電照菊

電照菊は沖縄出身アーティスト「かりゆし58」が歌にしているほど沖縄ではメジャーな光景です。メンバーは八重瀬町や糸満市など、沖縄の中でも田舎とされる地域の出身なので、電照菊も幼い頃から日常的な光景だったのかもしれませんね。
田舎町を去って都会に行ったかつての恋人への想いを綴った歌詞は、電照菊を観ながら聴くとギュッと胸が甘酸っぱくなる名曲なので、ドライブやデートで電照菊畑を訪れる際にはぜひBGMに聴いてみてください。
沖縄は全国的な菊の生産地だった!

あまり知られていませんが、実は沖縄での菊の生産・出荷量は全国第2位(※)なのです!
ちなみに全国第一位は愛知県で、電照菊による栽培方法も昭和22年ごろ愛知県豊橋市や田原市で開始されたほど、愛知県は由緒正しき元祖の生産地です。
沖縄県で本格的に電照菊の栽培が広がったのは本土復帰後の沖縄海洋博覧会以降からです。それまで本土に出稼ぎや就職していた人たちが帰ってきた時に、電照菊の栽培方法を地元で伝え広がったとされています。
※農林水産省 花き生産出荷統計「令和2年産都道府県別の作付(収穫)面積及び出荷量」参照
菊を電灯で照らすのはどうして?

菊を電灯の栽培方法の理由をちょっと説明していきましょう。菊は光を照らすと花を形成する芽の成長を抑えられる性質があります。そのような菊の性質を利用して、電灯の光で開花時期を調整し、計画的に出荷時期をコントロールすることができるのです。
菊の需要はお盆やお彼岸などが主ですが、沖縄では温暖な気候のおかげで、特にお彼岸に向けた2〜4月に出荷が集中しており、3月に限れば出荷量は全国1位となっています。
ちなみに、福岡や愛知の電照菊はビニールハウスでの栽培が主流ですが、沖縄では野ざらしの畑にポールなどを立てて菊を照らしています。沖縄では台風を含めて一年中強い風が吹くため、ハウスが飛ばされたり壊れたりするリスクを回避する理由があるようです。
以前は白熱電球を照らしていることが多かったのですが、近年はエコの観点から消費電力の少ないLEDへの切り替えが進んでいるようです。
電照菊が見られる時期や場所は?
電照菊を見られる時期は、おもに12月〜3月ごろで、およそ23時ごろから翌朝2〜4時ごろまで点灯しています。
電照菊が見られるスポットとしてよく紹介されている場所としては、糸満市の琉球ガラス村工房付近や沖縄県中部の読谷村にある「SUNSET FARM OKINAWA」などが有名ですが、他にも南部なら八重瀬町、南城市。中部なら沖縄市、うるま市。北部なら本部町、国頭村など県内全域で見られます。

写真は恩納村喜瀬武原(県道104号)付近で撮影した電照菊の栽培風景です。周辺の複数の畑で電照菊を栽培していますが、特に赤い灯りが煌々と灯っている畑では異世界に迷い込んだような不思議な気分を味わうことができます。

ドライブデートで訪れる人は多いですが、写真の勉強をしている人は夜の撮影練習として訪れるのもいいかもしれません。幻想的な電照菊畑の光景は写真の腕を磨くのに最適なスポットですよ。
電照菊は冬の沖縄を楽しむ穴場スポット

冬の沖縄を観光するならプロ野球やJリーグのキャンプのほか、ゴルフやホエールウォッチングなど魅力的なコンテンツは豊富です。
その中でも電照菊は観光客にはあまり知られていない沖縄の映えスポットですのでに沖縄を訪れる際にはぜひ電照菊の灯りを探してみてください。