食べるほど苦味がクセになるフーチバー(よもぎ)の魅力
沖縄そばの名脇役のフーチバー
フーチバーとはよもぎの沖縄での呼び方です。他県ではよもぎを直接食べる習慣があまりないので観光客などから注目されにくいですが、沖縄県内では、沖縄そば店やヤギ料理店などで日常的に食されている島野菜です。
知っておきたいフーチバーの基礎知識
よもぎは旬を告げる春野菜として知られ、草もちの色付けに練り込んだり、天ぷらにしたりする食べ方が一般的ですが、沖縄で食べられているよもぎは「ニシヨモギ」という種類で、本土のものよりも苦味が少ないので生食が可能です。ニシヨモギは特に九州・沖縄地方で栽培され、沖縄では一年を通して収穫、販売されています。
よもぎには薬草としても有名ですが、ニシヨモギも同じように食物繊維、ビタミンC が豊富で高血圧や貧血などの病気に良いとされています。フーチバーとは、沖縄の方言で病気を意味する「フーチ」と葉っぱの意味である「バー」をあわせた呼び方で、古くから身体に良い効果があることが信じられてきました。
フーチバーの食べ合わせ効果は?

沖縄では昔から、おめでたい席で家畜の山羊を捌いて来客者に振る舞まうなど山羊肉を重宝してきました。現在でもお酒を飲んだあとは〆のステーキならぬ“〆の山羊汁”を選ぶ人もいるほど、沖縄県民の食文化に根付いています。
山羊肉の栄養価は高く、滋養強壮に効果があるとされる反面、民間伝承で高血圧の人に悪いとか、妊婦が食べると早産になるとも言い伝えられできました。そこで血圧を下げる効果があり食物繊維が豊富なフーチバーを一緒に食べれば相殺されると信じられてきました。
その真偽は定かではありませんが、独特の臭みがある(若い子羊の新鮮な肉ならほとんど臭みはありません)山羊の刺し身や山羊汁の口直しとしてフーチバーは充分に役割を果たしてくれることだけは間違いありません。
沖縄そばとフーチバー

山羊肉のほかに沖縄そばもフーチバーを一緒に食べることが多い食材です。フーチバーを練り込んだ麺を提供するお店のほか、テーブルに山盛りに置かれており、沖縄そばに入れ放題(常識の範囲で)というお店もあります。
はじめは沖縄そばと一緒にシャキシャキとした生のフーチバーの感触が楽しめますが、時間が経つとスープに浸されて柔らかくなった葉が麺に絡まり、ほどよい苦さがアクセントになってくれます。
一度その食感にハマってしまうと、フーチバーを提供してくれる沖縄そば店を探すようになってしまうことでしょう。
フーチバーを使った料理

山羊料理や沖縄そば以外にもフーチバーが活躍する料理があるので紹介します。
●フーチバーじゅーしー
沖縄そば店のメニューで見かけることが多いじゅーしーは、沖縄風混ぜごはんのことです。フーチバーと一緒に炊き上げたり、炊きあがったじゅーしーの上に生のフーチバーを刻んでまぶしたりといろいろな混ぜ方で食されています。
●ぼろぼろじゅーしー
ぼろぼろじゅーしーは沖縄風の雑炊のことです。フーチバーじゅーしーと同じように、一緒に炊き込んだり、まぶしたりします。まったりとしたぼろぼろじゅーしーに混ぜることでフーチバーの苦味がほどよいアクセントになります。
●フーチバーの天ぷら
居酒屋のメニューなどでみられる料理です。本土風にカラリと揚げたものを岩塩などでさっぱりと。フーチバーのほどよい苦味があとを引きます。
●そのほか
ほかにも、おひたしにしたりジェノベーゼソースにしたりと、家庭やレストランなどでさまざまにアレンジされたフーチバー料理が楽しまれています。
食べれば食べるほどハマる島野菜、フーチバー

口直しや混ぜものなどで脇役扱いの多いフーチバーですが、シャキシャキの食感と爽快感のある苦味を覚えてしまったらきっと病みつきになってしまうでしょう。沖縄の飲食店で見かけたらぜひトライしてみてください。