辛いが美味い!沖縄そばの味変を楽しめるコーレーグス
辛さがクセになる沖縄の定番調味料
沖縄で食堂や沖縄そば店を訪れると、テーブルの片すみに唐辛子が入った透明な液体の小瓶が置かれていませんか。これはコーレーグスと呼ばれ、沖縄の料理には欠かすことができない定番の調味料です。
コーレーグスは、唐辛子(キダチトウガラシ)を数週間から1ヶ月ほどかけて泡盛で漬けて辛さを染み込ませたものです。これを料理に振りかければ、泡盛からくる独特な風味と唐辛子の強烈な辛さが追加され、さらなる食欲をかき立ててくれます。
特に、昆布やカツオ出汁などのさっぱりしたスープが多い沖縄そばとの相性は良く、食べ進めていく中盤にスープに数滴垂らすことで、シンプルだったスープに強い辛さが加わり、キリッとした味に変化させてくれます。辛さの後から口の中に広がる特有の風味がくせになり、もうひと口、さらにひと口と、気がつけば最後の一滴まで飲み干してしまうことでしょう。
ただし、初めての人には想像以上のクセと辛さなので、慣れるまでは少量ずつ試してみてくださいね。また、少量とはいえアルコールが体質に合わない人は気をつけて使用してください。
コーレーグスの豆知識と歴史
コーレーグスに入っている唐辛子は、キダチトウガラシというナス科の植物で、沖縄では「島とうがらし」の名前で知られています。見た目は一般的な唐辛子よりも小ぶりで強い辛味が特徴です。日本では沖縄のほかに小笠原諸島や伊豆諸島、海外ではインドネシアやフィリピンなどの比較的温かい地域で栽培されています。
ちなみに「コーレーグス」や「コーレーグース」「コーレーグスー」など、呼び方にバリエーションはありますが、商品名だったり、地域差などによるため、どれが正しいということも無いそうです。
歴史や言葉の由来について詳細を記した文献がありませんが、16世紀ごろ沖縄に伝わった唐辛子が“高麗胡椒”(コウライコショウ)と呼ばれ、これが沖縄方言として変化しコーレーグショー、からコーレーグスなったという説が有力です。本来は唐辛子そのものを指していたのですが、現在では液体のことをコーレーグスと呼ぶことが一般的になっています。
コーレーグスが沖縄で作られるようになったのは、明治時代にハワイへと移民した人たちが帰郷した際に、ハワイアンチリペッパーウォーター(唐辛子、水、お酢など)の作り方を伝え、それを参考に現在のような泡盛漬けになったと考えられています。
時代背景から考えれば、街中の沖縄そば店で庶民が気軽に食べるようになった大正時代には、すでに沖縄に存在していた可能性がありそうです。100年以上も前から食堂で味変をしていたかと想像すると少しロマンを感じますね。
自宅でもコーレーグスが作りたい!

「ぐくる」で購入した沖縄そばを食べる、そんな時に自宅にコーレーグスがないと少し物足りませんよね。でも大丈夫、コーレーグスの作り方は非常に簡単で、島とうがらしを泡盛に漬け(お酢を入れる場合も)、数週間〜1ヶ月ほど常温で置いておくだけ出来上がります。
ただし、生の島とうがらしを沖縄から県外に持ち出すことはできません。生の島とうがらしにはナス科野菜(ピーマン、ししとう、ナスなど)などを好むナスミバエという害虫が寄生している可能性があり、沖縄県内で発生が確認されています。防疫の観点から県外に持ち出さないように注意してください。
市販品のコーレーグスや乾燥・冷凍した島とうがらしであれば県外に持ち帰ることができるので、自宅用にコーレーグスを作りたい場合は、市場や道の駅などで乾燥または冷凍の島とうがらしを探してみてくださいね。
試してみよう、他にもこんな使い方
コーレーグスは、おもに沖縄そば以外にもチャンプルー料理(ゴーヤー、ソーメン、とうふ、お麩など)をはじめ、ほとんどの沖縄料理に使っても美味しくいただけます。特に沖縄味噌汁(丼ぶりサイズの器に玉子やレタス、スパムなど沢山の具材が入った味噌汁)との相性は抜群です。
他にも、納豆のカラシの替わりに和えてみたり、刺し身醤油や餃子のタレに少量入れるのもオススメ!さまざまな料理で試してみると以外な美味しさに出会うことができるかもしれません。
味の違いを見つける旅へ出よう

沖縄県内の沖縄そば店や食堂では、コーレーグスを自作してアレンジや調合などを加えているお店も少なくありません。微妙な味の違いを見つけることは難しいかもしれませんが、次回の沖縄旅行では、コーレーグスのお店による味の違いを発見する旅も面白いかもしれませんね。
最後に、コーレーグスの泡盛で飲酒運転にはならないのか?といった疑問の声もありますが、調味料として使用する量は少量なので、常識的な範囲であれば基本的には車の運転に影響しません。観光のドライバーでも気兼ねなくコーレーグスを味わってください。