沖縄の大切な家族行事、今年も旧盆がやってくる!
夏の沖縄。それは観光客にとっては南国の海とたわむれる季節というイメージですが、沖縄の家族にとってはお盆の季節です。沖縄は先祖崇拝の文化が古来から根づいているため、ご先祖様をお迎えする旧盆は、今でも多くの家庭で大切にされている行事です。
本土でのお盆は、毎年8月13日〜15日までと曜日に関係なく決まっていますが、沖縄のお盆は旧暦の7月13〜15日にあたる日に実施します。2022年(令和4年)は8月10日(水)〜12日(金)がその時期ですが、2020年には8月31日〜9月2日であったり、2025年は9月4日〜9月6日と、年によって日程がまちまちなのも沖縄のお盆の特徴でしょう。
沖縄のお盆期間中、各家庭ではどんなことをするのでしょうか?それぞれの家によってやり方はまちまちですが、今回はその一例を紹介していきます。
お盆の日はウンケー?ナカヌヒ?ウークイ?

沖縄では毎年夏ごろになると「今年の旧盆はいつだったかね?」「今年は8月10日からだったはず」といった会話があいさつ代わりにされることもしばしば。
お盆の期間の3日間にはそれぞれ意味があり、各日に呼び名が付けられています。お盆初日はご先祖様をお迎えする日でウンケーと呼ばれます。2日目は中日なので文字通りナカヌヒ、最終日はご先祖様をあの世にお送りする日としてウークイと呼ばれています。
ご先祖様にお盆到来をアナウンスする日

沖縄のお盆は旧暦で祝うため日付が毎年変わります。そのため旧暦の七夕になると、家族がお墓の掃除やお供え物をしにを訪れることで、ご先祖様にお盆到来のアナウンスとなります。
2022年の旧暦七夕は8月4日(木)なので、7日後の8月10日(水)に旧盆となります。もともと本土でも七夕はご先祖様にお盆をお知らせする意味があったのですが、いつの間にか7月7日という日付だけが新暦に組み込まれ、それぞれが独立した行事へと変化してしまいました。
旧盆に用意するアイテムと各日程で行うこと
沖縄でお盆が行われる3日間は、ご先祖様を迷いなく迎えて送るための行事やアイテムが決められています。地域や家庭などによって多少しきたりが違いますが、旧盆の手順の一例をご紹介していきましょう。
<1日目:ウンケー>

ご先祖様をお迎えする日のウンケーは、朝から仏壇の掃除をして、お茶、水、お酒のほか、果物の盛り合わせやウンケー団子、「ウンケージューシー」などのお供え物と、仏壇の両脇には、ご先祖様があの世(グソー)に帰るための杖とするサトウキビ「グーサンウージ」を2本立て掛けます。
玄関先にはロウソクで灯りを燈し、旅路で汚れたご先祖様の足元を払うための「ソーローホーチ」(精霊ホウキ)をバケツに立て掛けて置きます。さらに、沖縄の線香である「ヒラウコー」を2枚焚いて、本日ご先祖様をお迎えすることを門の神様に伝えます。
門前で燈したロウソクと焚いたヒラウコーを持ったら、ご先祖様をお迎えする言葉を唱えながら仏壇へと移動し、集まった家族が家長から順番にご先祖様を拝んでいきます。一通り拝み終わったら、ウンケー用のジューシーを供え、家族も一緒にウンケージューシーをいただきます。
<2日目:ナカヌヒ>

2日目のナカヌヒは親族が仏壇のある家に集まる日です。親族は1,000〜2,000円ほどのお中元を持って訪れ、最初に仏壇に名前を告げて1年のご報告をします。このときの手土産には「ウチカビ」と呼ばれるあの世のお金を乗せる風習も家によってはあるそうです。
この日は親戚廻りをする人々が多いことから沖縄の道路が渋滞する日とも言われているので、もし観光などでこの日に訪れる予定があるのなら注意したほうがよさそうですね。
<3日目:ウークイ>

ご先祖様をあの世にお送りするウークイは、お盆期間中でもっとも重要な日です。「御三味(ウサンミ)」と呼ばれる重箱をご先祖様に供え、集まった親族とともに食事をした後、夜遅くにウークイの行事を始めます。
仏壇を持つ家の家長がヒラウコーを拝して感謝の言葉を述べます。集まった親族も同様に拝み、全員が終わったら家長が仏前でご先祖様への日頃の見守りへの感謝と子孫繁栄を拝みます。
仏壇の前に用意した「カビバーチ」と呼ばれる火鉢を用意し、家長から順にあの世のお金となるウチカビを焚いていきます。カビバーチには他にもお茶、供え花、ウサンミから数品を取り出したおかずなどを入れて「ウサンデー」というご先祖様へのお土産にするためクワズイモの葉で包みます。
仏前での拝みが済んだら、門前に出てご先祖様をお見送り(ウークイ)します。門前では「ミンヌク」(水の子)を撒きグーサンウージを立て掛けて、お土産のウサンデーも供えます。
最後は家長がヒラウコーでお祈りしたら、親族一同で3日間の感謝とお帰りの無事をご先祖様に伝えたら終了です。翌日には仏壇に「お疲れさまでした」と伝えることも忘れないようにしましょう。
ご先祖様をお見送りする道ジュネー

家での行事は以上ですが、町内では地域の青年会などがご先祖様があの世へ無事に帰れることをお祈りする行事として、エイサーを踊りながら練り歩く「道ジュネー」を行います。
昔の道ジュネーは、お盆の最終日の夜に各家庭を1軒ずつ回っていましたが、近年では道を練り歩いたり、町内の広場などで実施したりしています。
旧盆は家族が集まる大切な行事
沖縄の旧盆についてはいかがだったでしょうか?方言やアイテム名がなかなか難しかったですよね。文章だと分かりづらいところもあったかも知れないのでYoutubeなどで一連の流れを観てみてくださいね!